今年1月の懇親会は仕事と重なって欠席したので、今回久々の参加となった。
場所は宗右衛門町の食道園。
エキゾチックな雰囲気でごった返すミナミの街を道頓堀に向け歩くが、人が次から次へと溢れ出てくるので道なき道を行くようなものであった。
春が兆して夕方でも明るい。
しかし先日来の陽気は見る影もなくスーツだけでは寒さに抗し難く異郷感が募った。
なんとかたどり着き、会場は4階だというので他の客とともにエレベーターに乗った。
エレベーターの階数ボタンを押す際、コミュニケーションが生まれ相手から出た言葉が日本語だったので驚いた。
ツーリストに目が慣れて、彼らもてっきりそうだとわたしは思い込んでいた。
英語で話しかけなくてよかった。
もしそうしていれば噛み合わず空気冷え冷えとなり気まずかったに違いない。
4階に入るとすべて見知った顔。
伏魔殿を抜け出て帰郷したような感が湧いて気持ちが和んだ。
定刻6時よりも少し早くに全員が集合した。
妹尾くんの無茶振りで乾杯の音頭は、この日、東京から参加の現役の東大生。
初々しい発声を先輩皆で受け止め、ビールを互いじゃんじゃか注ぎ合い、肉をどんどこ焼き始める楽しい時間が始まった。
ちょうど後期の合格発表があったばかりのようで、結局、今年大阪星光からは東大20人、京大50人、国公立医学部47人の合格者が生まれたということであった。
注目すべきは現役合格率。
重鎮の先生がおっしゃるには、西大和の東大シフトの影響が無視できないという。
従来であれば京大や関西の医学部を受けていた強敵がこぞって東京に出払って、その分スペースが空いたため競り負けるという局面が少なくなった。
だから星光は、その安全志向と相まって浪人の数が減少した。
しかし、西大和はどうなのだろう。
京大合格者数日本一となって直後、西大和は東大へと舵を切り、しかし東大は京大よりも思った以上に手強く難しく、結果は徐々に出ているにしてもあと一歩という踊り場状態が継続しているように見える。
この状況は星光にとってはある種の棲み分けであるから好ましいが、もし万一、西大和が京大にまた注力し始めれば、京大の難化は避けられず星光としても何か対策を講じなければならなくなる。
潰し合うより、棲み分ける。
それが両校にとって一番いいのではないだろうか。
だから初志貫徹、東大合格者数で目にものを見せてくれるよう西大和にエールを送るのがライバルとして最も正しいあり方ということになる。
その他、この日で出た話題で興味深かったのが、大阪星光婚活パーティー。
昨年末、男女各20名ほど、男女ぴったり同数にて催されたという。
男子は星光の50期から55期、つまり32歳から27歳というピカピカの適齢期が集められ、一方女子はOBらの伝手で集まった楚々と麗しい箱入り娘たち。
盛況であったらしく、春を過ぎた頃、それらメンバーが再び集まって今度は平野郷散策が企画されるのだというから、星光OBの面倒見は日本一の域にあるといって過言でないだろう。
飲み会も佳境を過ぎた終盤8時頃、わたしは現役東大生の隣に腰掛けた。
ちょうど同じ刻、卒業旅行に赴くためうちの家に西大和卒の東大生らが集まってきているはずだった。
つまり、無関係とは言えず、挨拶をするのは当然のことであった。
昔から家に遊びに来ていた長男の友だちたちが晴れて東大生になる。
中学受験という括りで言えば大阪星光と西大和は親戚みたいなものである。
だからひとつよろしく。
そしておそらくそこにも繋がりが生まれ、そんな想像を巡らせることはとても楽しい。
返す返すも大阪星光は素晴らしい。
だから懇親会も毎回実り多いものとなって実に素晴らしい。
同期であれば連れになったはずの者どうし、年齢の垣根を超えて一緒に飲んで食べ、楽しく語らう。
何がいいといってこの空気感が格別で、大阪星光の良さを一語にするなら、日本一の空気感、となるのではないだろうか。