谷町線平野駅3番出口を上がるとすぐ左手に黄色い建物が目に入る。
そこが、かねしろ内科クリニックである。
この日たまたま院長が新しいスタッフに対しする話を耳にした。
すべての患者さんに人としての尊厳がある。
その尊厳をリスペクトする気持ちを絶対忘れないようにしよう。
他所がどうであろうと、かねしろ内科では医は仁術。
それがこのクリニックの基本姿勢になる。
病を治し、それで喜んでもらう。
そこにここで働くやり甲斐を感じて欲しい。
金城聡司院長は大阪星光の33期、大阪市大医学部出身。
医師であるなら誰もがそうであって欲しいと思う信念を彼から聞いて、こんな友人がいて嬉しいとわたしは思った。
かねしろ内科クリニックを後にし谷町線平野駅にて電車を待つ。
育ち良く聡明そうなお坊ちゃん、お嬢ちゃんが続々と現れる。
大教大附属平野小学校の児童たちだった。
微笑ましい。
ちびっ子はいつだって誰だって可愛く実に微笑ましい。
目を細めつつ天王寺駅で乗り換え次に向かうは、きじ歯科西田辺診療所。
西田辺の駅をあがって地上に出ると雨が激しく降り始めていた。
長男の歌声を耳にしつつ歩くこと数分、二曲目の途中で到着した。
この日も先日同様。
優しく懇切丁寧な院長とこれまた優しく懇切丁寧な歯科衛生士さんの二人がかりで、つまり優しく懇切丁寧が二乗となって、かつあらゆる最新マシンが総動員されて、歯の一本一本、歯茎のなか隅々に至るまで一斉包囲のうえ、しつこく堆積する歯石と菌膜を一網打尽で駆除してもらった。
おかげで口臭がなくなったと、家族に大好評。
こびりついた歯石が発する異臭が口臭の原因なのであるからガムを噛もうが歯を磨こうが消えなかった訳である。
臭いの元が断たれて爽快。
外は依然として雨模様であったが、わたしはさっきよりはるかにマシな人間へと変貌し、きじ歯科西田辺診療所を後にした。
ちなみにこの日、貴治院長から奥歯の磨き方を教えてもらった。
奥歯なので口を大きく開けがちだが、意外なことに、コツは口を小さく開けること。
その方がブラシが奥歯を捉えやすい、ということだった。
貴治一敏院長も大阪星光33期、阪大歯学部出身。
星光生であった当時、まさか歯ブラシの使い方を教わるなど夢にも思っていなかった。
御堂筋線西田辺駅から電車に乗り直帰する。
家内は西大和ママらと食事会に出かけて留守。
かつてのわたしなら一人酒場へと繰り出すところであったが、家のものを食べると先日家内と約束したばかり。
週末金曜日の夜、家で阪神巨人戦を見ながら家内の手料理をあてに一人ハイボールのグラスを傾けた。

