朝のうちにジムを終え、家内を助手席に乗せクルマを走らせた。
向かうは天王寺高校。
略して天高。
大阪屈指の名門校である。
わたしは下町生まれの下町育ち。
斜め向かいに住む兄貴分が天高に通っていたので憧れた。
その兄貴分、阪大に行って弁護士になったが家の裏にも兄貴分がいてそっちは灘から京大医学部に行って医者になった。
ちなみに隣の家の兄貴分が早稲田理工に行ってその息子が慶應法だから、うちは全く期せずして隣家をなぞったことになる。
下町を絵に描いたような下町であったが、教育レベルについては下だ下だと見くびられるほど下ではなかった。
対羽衣学園戦は13:20開始。
わたしはiPhone、家内は一眼レフを構えて試合を見守った。
相手はゴール前にカラダどでかい9番を張り付け縦パスを連発し得点を狙うという戦略だった。
それに羽衣は必勝を期していたのだろう、国体大阪代表でもあった高3の主力2人を中盤に投入していたから、縦への通りが良く手強さが増した。
パスをつないだりドリブルしたりして前へと進む星光高2&高1チームの積み重ねを帳消しにするみたいに、羽衣高3が立ちはだかってどんどん前線に危ういボールが出ることになった。
このような場合、戦術は相手に合わせるのが得策だろう。
星光は15番を中盤より後ろにおいて守備を固め、エース7番が相手高3と競り合って強いボールを前線に叩き込むという淡白な戦術に切り替えた。
それが功を奏し、乱打戦の攻防は1対0で星光に軍配があがり無事近畿大会進出と相成った。
戦い終えた星光の選手らは連れ立って打ち上げ。
一丁前に天王寺でしゃぶしゃぶを食べるのだという。
わたしたちは家に帰ってラグビーを観戦しつつ夕飯。
食卓に所狭しと家内の手料理が並んだ。
時を同じくして長男はその画面の向こう、横浜国際競技場にて観戦していた。
そこに長男が伴うのは西大和の友人。
頭脳明晰で豪胆無比、運動神経も抜群。
並み居る優秀な友人のなか最も頭のいい男の一人と言えた。
能開上本町から西大和まで同じ。
しかしやはり差が生じ彼は滑り止めなど一切受けることなく東大文一に余裕しゃくしゃくで合格を果たした。
現役で大学に受かって一緒にラグビーを観る。
なによりである。
観戦後は二人で飯を食うという。
と、二男から連絡が入った。
甲南山手で銭湯に入った後、部活メンバーが泊まりに来る。
何人?と聞くと、全員だとの返事。
高2のメンバー9人が一人も欠けずうちにやってくる。
この学年は実に仲がいい。
グラウンド、しゃぶしゃぶ、風呂。
散々喋って語った彼らであるはずだが現在午前二時半、夜中になっても話し声は止まない。
ちなみに彼らのパジャマは大阪星光の白と青のセカンドジャージ。
お揃いの格好で過ごす一夜がなんとも微笑ましい。