わたしはボクサーではないので飲みたければ飲み食べたければ食べる。
もちろん自分なり節度をもって腹八分目でとどめ、際限なく飲食することはない。
が、同じエムでもブランドによってサイズが異なるように、家内が考える八分目とわたしのとでは、エスとエルくらいに乖離がある。
例えば昨夕。
仕事が早めに終わったので家内とともにジムに寄った。
平日夕刻、がら空きのジムで思う存分カラダを動かした。
だから腹ペコ。
しかし、夕飯は少ない。
焼鳥が数本並び、サラダがあって、後はかぼちゃのドリアと豚汁のみ。
栄養はあるのだろうが量が少ない。
子犬の餌ではあるまいし、とネガティブに捉えそうになる思考を切り替えるしかなかった。
この分量が好循環を生むという一面も確かにあり、そこに着目することにした。
筋トレすれば気持ちよく眠れ、そして夜中に空腹が訪れるから結局早くに目が覚める。
始発で出勤することになって仕事が捗る。
それでまた夕刻に時間ができてジムに行き、家内の監督下で腹八分目。
だから昼に出先で口にした高カロリーも相殺されて帳尻が合うことになる。
長い目で見れば悪くない循環と言えるかもしれない。
これが続けば、いつかわたしはかなりいいカラダになるのではないだろうか。
そんなことを考えつつ、わさびや柚子胡椒や沖縄からさんどーなどで焼鳥をついばんでいると、二男が帰宅し、すぐさま公園でトレーニングをはじめた。
夜中、公園を疾駆する息子が街路灯に照らされその輪郭が夜陰に浮かぶ。
しばし見とれて思う。
揃いも揃ってうちはちょっとした運動一家ではないか。
長男もいまラグビーの練習に加えジムでのワークアウトを頑張っている。
だから今度会うとき、更に精悍になっているに違いない。
振り返れば高校2年の10月頃。
文化祭を終えてから彼は受験勉強に本腰を入れた。
それまでは歌って踊ってラグビーもしカラダを鍛えていた。
西大和の先生は言った。
東大なら2年、京大なら1年。
普通の子が合格するにはそのくらいの期間、必死に勉強する必要がある。
スタート時点で時間不足であったから、他のものはすべて犠牲にするより他なかった。
まったく運動がお留守になって太めになった。
しかし、肥えた分だけ学力もついて、東大には届かなかったが無事現役で大学に合格できた。
受験を終えて、彼の最大の課題は運動となった。
お留守になった分を急遽取り返す必要があった。
連日運動し続け、東京でも馬車馬のごとく運動しているはずなので、いまに至って相当な体躯になっているはずである。
今度上京した際、ホテルのプールとフィットネスでカラダを鍛えようと話し合っている。
息子はたくさん食べ、わたしは腹八分目に食べ、家族水入らず、たっぷり運動することになるのだろう。
父たるもの、ジムにおいても威厳を見せたいが、これについては家族の誰にも敵わない。