届いた牡蠣の一部は家内の手によりオイル漬けにされ、その他は揚げられカキフライとなって息子らに供された。
息子らの絶賛の声を聞き届け、わたしたちはクルマを走らせた。
思った以上に肉が売れ備蓄が手薄になったので補充する必要があった。
行き先はパル・ヤマト西宮店。
なかなかの品揃えでいい食材が手に入る。
朝9時開店と思いきや10時。
時間を潰すためヒロコーヒーに向かうが店は大混雑であった。
店内でお茶することはあきらめ、クルマのなか家内とテイクアウトしたコーヒーを飲みパンを分け合った。
開店5分前。
パル・ヤマトの入口は既に大勢の人でごった返していた。
人混みをかき分けるようにカートを押し、わたしは家内に付き従った。
さすが家内。
買い物の手際が実にいい。
まもなく各種ステーキがうず高く積まれ、その他食材で2つのカゴがいっぱいになった。
家に戻って軽く昼食を済ませ、続いては大阪市内までクルマ走らせ子らのための新年の衣類など買い集め、そうこうしているうちあっという間に日が暮れた。
家内が夕飯の支度をする間、わたしはジムで一汗流した。
二男は不在。
前夜は部活の先輩らと焼きしゃぶを食べ、この夜は友人らと焼肉を食べて過ごすという。
彼も彼なり忙しい年末を過ごしているのだった。
昨晩と同様、長男と食卓を囲んだ。
夕飯のメインはすき焼き。
28期松井教授がくださった黒毛和牛がこの日を待っていた。
めちゃくちゃ美味しい。
最初、スパークリングで乾杯したが、こんな美味しい肉には赤ワインだろうと家内が言うので、結局2本のボトルを同時に飲み進めることになった。
長男はこの日、芦屋のセントラルスポーツでトレーニングに励んでいた。
美魔女が多く東京でいま住む地域と瓜二つの雰囲気だと彼は感じた。
長男の饒舌はこの夜も健在。
家内の二万語のお株を奪った。
塾のバイトで大勢の父兄と面談を行う。
生徒のレベルは非常に高いが、親もまたそう。
男親は会社役員や医者や弁護士やその他自営業者ばかりであり、女親は美人ばかり。
天は二物を与えずという言葉は劣勢に置かれた者の僻みや負け惜しみに端を発する願望に過ぎず、実際は、持つ者は二物も三物も持ち、持たざる者はずっと持たずいまも持たずこの先も持たない。
激烈な差が実在する現実を目の当たりにし彼は世界の真実を知ることになった。
受験という予選を終えて約半年。
出し抜けにゴングが鳴り、いよいよほんとうの戦いが始まったのだった。