土曜日の朝、二男を送り出してすぐわたしたちも出発した。
2月8日、昨年と同じ日付でのお伊勢参りとなる。
環状線で鶴橋まで出て近鉄特急に乗り込んだ。
ドトールで買ったコーヒーを飲みつつ柿の葉寿司を食べ家内と車中くつろいで過ごした。
途中何度も居眠りし、夢に浮かんだのは家族であった。
和室に布団を敷き詰めて家族四人で寝転がって小さくかわいい息子たちに目を細め、途中目覚めて、次にプールのシーンなどに変わるが目を細めるのは同じことだった。
9:54、伊勢市駅に到着した。
日差し暖かく降り注ぎ、体感としては春だった。
売り切れ必至のいちご大福をまず先に確保してから外宮を回り家内とともに手を合わせ頭を下げた。
感謝すべきことばかり。
その不思議に伴って生じるのは畏れであって虚心になってこうべを垂れる以外にできることは何もない。
内宮へはタクシーを使った。
ここ最近の伊勢界隈の話を聞き、焼肉なら松坂の一升びん、温泉なら榊原温泉がいいとの情報を得て参拝後の予定が決まった。
家内とともに数々の思い出話にふけりながら参道の砂利を踏み締めて歩いた。
巨大な樹木の陰に漂う冷気が厳かであって心地よく、横にいるのはわたしの伴侶であった。
参拝を終え時刻は11:30。
今度はバスで伊勢市駅に戻り松坂駅に向かった。
焼肉一升びん本店は旧城下町の街路を10分ほど歩いたところにあった。
街並みの静寂とは大違い。
人気店であるようで店内は混み合っていた。
予約していて幸い。
何組もの待ち客を抜かす形で席にありつけた。
おすすめどころを次々焼いて何もかもがびっくりするほど美味しく昼から赤ワインが進んだ。
特撰の肉に続けてニンニクも焼きテールスープも飲み干し、そしてまたおすすめをオーナーさんに聞いてその助言に従った。
二男には上ミスジと中ミノを焼いて帰ることにした。
息子の喜ぶ顔が頭に浮かんだ。
お腹膨れて次に向かうは榊原温泉。
温泉口の駅を降り、目についた無料送迎バスに乗り込んだ。
運ばれた先は猪ノ倉温泉しらさぎ苑。
山間の長閑な景色に見入って湯につかること一時間。
疲れ癒えて肌はスベスベとなった。
家内はたいそう気に入ったようであった。
榊原温泉は今後、伊勢を訪れた際の定番コースになることだろう。
そして仕上げは、話し合うまでもなく当然に鶴橋アジヨシの冷麺。
夫婦で向かい合って食べその至極の美味しさを堪能した。

