苦戦することは織り込み済みの話だった。
遡ること6年前。
2014年の中学入試の際、理社の難易度に差がありすぎた。
とてもではないが3科受験では通らない。
浜学園からそんな苦情が大阪星光に寄せられたほどだった。
社会を選択したかどうかで合否が分かれた。
そんな入試を経て星光に入った65期はやんちゃで通る学年で、中1から高3までずっと一貫してやんちゃなままだった。
64期はその安全志向が功を奏し現役合格者が多く、浪人生となる者が少なかった。
だから今年2020年の大学合格実績は昨年よりかなり見劣りするのではないか。
当初からそう危ぶまれていた。
そしてセンター試験の数学が、今回で最終回なのに新傾向になった。
ここで少なくない者が面食らって躓いた。
星光生は概して英語が弱い。
数学でゲインできないとその時点で形勢は不利となる。
結局、当初の想定を覆す好材料は何も生じず、案の定という最低線をも下回る結果が今日明らかになって全星光生がショックで打ちひしがれることになった。
3年前の2017年、このときも芳しくない進学実績であったが、今回はそれをも下回った。
この春に入学する新入生や保護者らはこの結果を目の当たりにして不安を募らせているに違いない。
大阪星光を目指し毎日夜遅くまで塾に通って頑張って、数ある中学の中からここが一番と信じて大阪星光を進学先に選んだ。
それがいきなり株価大暴落とも言える実績を突きつけられたのであるから話が違うと戸惑ってもやむを得ないことだろう。
しかし幸い次の66期は真面目で優秀。
一年後、少なくとも例年並の実績は挙げるだろう。
ただ、中長期的にみたとき心許ない感は拭えない。
河合塾の先生は言った。
星光生には北野の生徒のようなひたむきさが欠けている。
研伸館の先生は言った。
星光生はのんびりし過ぎていて西大和生に比べて覇気がない。
進学実績は結果の話。
大阪星光のスタンスは終始一貫しているが、結果が伴ってこそ様になる言葉であり不調であれば言葉自体の意味がまるっきり変わってしまう。
ちょうど6年前くらいからだろう。
塾の先生が西大和を推すようになって、大阪星光ではなく西大和を第一志望とする者が目立つようになった。
教え子をどの学校に託すか。
親心にも近い視点での選択であるから塾の先生の判断は軽視できない。
西大和はまったくぶれることなく理念に忠実に熱意ある教育を行い、甲陽は声高にせずとも強い男子らを輩出し続け、西大和につられるようにとうとう東大寺も危機感をもって本腰を入れ始めた。
星光生は皆が仲よく和やかで雰囲気はたいへんいいが、それが若き男子の牙を抜くようなものとなっては将来の仇となるだろう。
星光の校歌の2番に「鍛えよ、鉄(くろがね)の腕(かいな)」というフレーズがある。
ライバル校に恵まれている。
鍛えようと意思さえすれば、鍛えるのに申し分ない環境にあると言えるのではないだろうか。
今回の結果がいい契機になることを期待したい。