わたしは武庫川でジョギングし、家内はリビングでヨガ。
午前中の過ごし方は前日の土曜と全く同様となったが、午後は一歩も外に出なかった。
残りもので昼を済ませ、向かい合って新聞を読み、その後は『愛の不時着』を夫婦で観て過ごした。
開け放った窓から入る風が清涼で、陽の匂いに混ざって公園の樹々の香りも吹き込んでくるから、まるで木陰で佇んで過ごすようなもの。
実に快適な午後となった。
だからだろう。
当たり前のようにまだ明るいうちから家飲みが始まった。
これまた土曜と同様。
獺祭のスパークリングの小瓶を食前酒にし、コンビニで買って冷やしてあった赤ワインを飲み音楽を聴いた。
そしてこれまた当然の流れ。
聞き役からやがて歌い手。
家内が歌いはじめ、わたしはiPadに映る画像と歌詞を眺めてその世界にひたった。
日が暮れる頃にはお酒が空いた。
しめはタコ焼。
家内が手際よく焼き上げていった。
外側がパリッとして中はふんわり。
タコの素材が活きて歯ごたえいいから、タコ焼きのお手本のような仕上がりといってよかった。
わたしはその出来栄えをほめたが、家内からすればタコ焼きなどアホほど簡単。
安上がりで手間もかからず料理のうちにも入らないという。
そんな会話をしていると、長男からメールが届いて電話が入った。
ひとり暮らしで閉じこもっていると気が滅入る。
かといって、帰省が許される状況でもない。
すべての活動が制約されて孤立すれば精神に不調を来しかねない。
だからそうならぬよう、事情を同じくする隣近所の大学生らで助け合い、励まし合って過ごしているのだという。
朝は一緒に走りそれで生活のリズムを組み立て、夜は手分けしてご飯を作って皆で食べる。
送られてきた写真をみれば、まるで家族。
いい面構えの男子らのなかには留学生も混ざっている。
揃いも揃って意識が高く、沈着冷静で質実剛健、男のなかの男といった面々。
そんな彼らがいるから親として心丈夫なことこの上ない。
電話を切る直前、息子は言った。
「バイト代があるから仕送りはいらない」
そして最後にこうつけ加えた。
「お互い、カラダに気をつけよう」
なんと頼もしい。
あのちびっ子がいつの間にやらいっぱしの男子。
横で会話に聞き入っていた家内とともに息子の言葉を噛み締めた。