大会は中止となり出場する試合の予定はないが、自主トレは続く。
一日の勉強を終えて夜、ランニングのあとグラウンドを駆け回りドリブルしシュートする。
最後はダッシュで締め、家で筋トレして仕上げる。
公園での練習の合間、一息つくとき決まって話しかけてくる爺さんがいる。
志望校や将来の夢など問われ返事をすると、爺さんは自身の仲間について手短に語り始める。
自主トレを終え上半身裸で涼む二男からそんな話を聞いて思う。
わたしも歳を取ればそんな風になるのかもしれない。
なにしろ語り種に事欠かない人生である。
まわりを見渡せば数々の人物列伝が現在進行で紡がれ続けている。
やがてそれらは最終章を迎え完結していくが、どれも胸に仕舞って済ますには惜しい話ばかりだろう。
だから披露する場がなければ自ら機会を探し、これはと思う青年がいたら百年目。
近寄って話しかけ、参照になりそうな人物について語り始めるに違いない。
リビングのソファに座って水をがぶ飲みする息子に言う。
これも何かの縁。
降り注いでくる話には因果があるに違いない。
そう考えれば、引き寄せの法則が良き働きをする。
一日5分のビジネス英語みたいなものである。
素直に耳を傾けていれば、値千金とも言える情報に巡り合うこともあるだろう。