以前は疲労を感じたときに限ってマッサージを受けていたが、ここ最近はどうであろうが木曜か金曜にカラダを揉んでもらうようにしている。
知らぬ間に蓄積した疲労に足を引っ張られることがなくなって、仕事能率はアップしている。
仕事が一段落し、この日の午後も雨の中マッサージ屋に向かった。
60分に亘りしっかり揉んでもらって頭スッキリ、カラダは軽く、足どり弾んで視界も明瞭となった。
帰宅すると家内がジムの支度をしていた。
カラダをせっかくほぐしてもらったばかりであったが、連れ合いの誘いを断るなどわたしの流儀に反する。
家内が運転しわたしは助手席に座った。
このところ二万語のなか英語が随所に折り混ざる。
時に英語コンプレックスの強い人などがやたら滅多に英語を多用するが家内の場合はものの弾み。
昼夜分かたず英会話の特訓に励んでいるからこちらの言語に戻り切らずとも詮ないことであった。
筋トレだけみっちりこなして、帰宅した。
夕飯の最中、会話にキャリアウーマンという語が出て家内がダーティ・ワークのリズムに乗ってブルゾンちえみのモノマネをし始めたとき、インターフォンが鳴った。
宅急便によって運ばれてきたのは血行を良くするのだというブラシやローラーといった健康器具だった。
早速家内がわたしの頭をブラシで連打し背中にローラーを走らせた。
案外気持ちよくわたしはしばし夢見心地に浸った。
事務所の仕事を手伝い、ヨガにもジムにも励み料理を筆頭に家事の手は抜かず常に目標に向かって勤勉に課題に取り組んで、子らのためなら命もいとわない。
ギブアンドテイクの均衡あっての人間関係だと思うが家内の場合は明らかにギブが過多。
家内が頑張るからその分、周りは楽になる。
ふとその逆を想像してみる。
人にだけ頑張らせ、自分は怠ける。
自分が楽する分だけしわ寄せが周囲に及び、周りは倍増しで頑張らねばならないということになる。
そうであれば、ちょっと震える。
幸いうちはそっち側の女房ではなく助かった。
うんとよくしてくれた分、わたしはいつか家内にこの恩を倍返ししなければならないだろう。