二人いる娘さんが二人ともいいところに嫁に行った。
その「いいところ」というのがハンパなレベルではなく由緒あって富裕な家柄、加えてそれぞれの夫が揃いも揃って高学歴高身長で高収入かつ男前。
しかも熱烈惚れられてのゴールインというからまるで夢物語。
そんな話を聴きつつ夫婦で思う。
おそらく娘さんら両親の功徳あってこそ。
そして、もしわたしたちに娘があったらどうであろうかと帰途話し合うことになった。
もし同じ年頃の娘がいて嫁に行きそびれていたら、そんな話を聞くだけでがっくり落ち込んだことであろう。
彼我の差の激烈は鋭利な刃より鋭く、それに心えぐられる痛みは堪えがたい。
そしてもし娘が適齢期以前であれば別の方向で心が固まったことだろう。
そんな話を聞いて、うちもと意気込む親もあるかもしれないが、うちに娘がいた場合、その器量など想像するだけで笑ってしまう。
夢のまた夢には目を伏せて現実を直視。
たった一人でもタフにハードに生き抜いていけるようしっかり勉強させ「高学歴高身長で高収入かつ男前」の凌駕を娘育ての目標に据えたに違いない。
いずれにせよ、娘がいれば不憫な思いをさせられない。
慎みは教えつつも、人並み程度には着飾って、いいものを持たせてと親心は発動するであろうから、出費の額は男子の子育ての比ではなく、そうであっても募る心配も比ではない。
結局、話していて嫌になり、ああ、うちは男子でほんとうに良かったという結論にいたった。
男子であるからこそ幸いなこと、安上がりでブサイク面もまたかわいい。