急に肌寒くなって、冬仕様の服が要ることに気づいた。
家内に連絡すると、呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。
半時間後には事務所近くにクルマが横付けされた。
助手席に座るや否や運ばれて、あっという間に到着。
台風が接近中で雨脚強く、三田プレミアムアウトレットはひと気少なくがら空きだった。
家内に言われるがまま試着して、あれよあれよという間に必要な衣服が買い揃えられた。
そして、わたしたちにとってはここからが本番。
息子らの服選びが始まった。
自分たちのものを選ぶより俄然楽しくあれもこれもと欲しくなる。
モノトーンでシックなテイストのものがあれば、すべて彼らに似合うとしか思えず夫婦ではしゃぎ、服を通じてわたしたちは子らの成長を互い喜び合っているようなものであった。
息子らの着こなしを思い浮かべながら、夫婦満面の笑み。
そんな帰り道も、カーステレオから流れるのは英会話であった。
やりはじめたらとことん極める家内のこと。
そうなるのは当然の流れと言えた。
真面目な長女気質で、努力が娯楽になるタイプの典型。
それがひとつの美質と言えた。
世には遊んで怠ける習性だけを身につけて、いい歳してもサルのひとつ覚えのように常に遊んで怠ける人がいる。
ただただ時間が消費され、後に残るのは時間の焼け野原。
だから、遊んで怠けることは思ったほどには楽しくない。
ああ、一生遊んで暮らせたら。
そう夢想するのは世間を知らない子どもに限られるということである。
遊んで怠ける不毛と異なって、その度ごとに一球入魂、地道な努力の過程には成るもの多く、それが楽しいから更に努力が促されることになる。
人と生まれたからには、是非とも身につけたいのが、努力できるスキルと言えるだろう。
努力に勝る遊びなし。
味をしめた人はみな必ずそう言うはずである。
帰途、そんな話をして、西宮阪急で食材とワインを買って、金曜の夜、二人で飲んだ。