水曜日の朝、家族3人でクルマに乗り込んだ。
わたしは助手席に座り、「インフルエンザの予防接種を受けるので遅刻します」と学校に電話した。
向かうは、わしお耳鼻咽喉科。
5分もせぬうち到着し、裏の駐車場にクルマを停めて開院の時間を待った。
その間、長男のラグビーの試合の場面を二男に見せた。
終盤に至っても走力衰えず、当たりも冴え渡って相手の嫌がる様子が画面を通じて見て取れた。
声もよく出てチームをうまくコントロールし、仲間の戦意をかき立て続けた。
来年は二男も同様。
まもなく受験という鎖から解き放たれ、東の地のグラウンドにて大暴れすることになる。
8時半になって、家族三人そぞろに歩いて、わしお耳鼻咽喉科を訪れた。
いつ来ても感心させられる。
スタッフのクオリティが非常に高い。
見た目よく対応の感じがよく、仕事に対する真摯さも伝わってくるから、そこで過ごしてとても安らいだ気持ちになることができる。
問診票を書いて、いよいよ注射の時間。
家内、二男、わたしと並んで、順々に注射を受けたが、まったく痛みを感じなかった。
あっという間に終わって、これで一安心。
いわく付き、不可視の冬を乗り切る準備が整った。
クリニックを後にするとき、待合室には幾人ものちびっ子の姿があった。
子の益となる診療を理念とする院長と、心優しいスタッフ、それにまったく痛くない注射。
これならどんなちびっ子でも安心だろう、そう思った。
クルマに乗り込み、今度はわたしが運転し息子の学校を目指した。
流す音楽は当然のことOT Brad。
さすが兄弟。
二男はデビュー曲Sushiをソラで歌える。
長男が高2のときのこと。
わたしたち夫婦が駅前の「わびさび」で食事している間隙を縫って、ミュージックビデオの撮影が敢行された。
舞台はうちの家と近所の各所スポット。
いまは京医と阪医に通う同級生を両サイドにし歌って踊ったあの映像が頭をよぎる。
阪神高速を制限速度内でぶっ飛ばし、家族でノッた。
そのうち家内の英会話レッスンが始まり、後部座席の英会話と前に座るわたしと二男の会話が混ざり合った。
海の向こうのドイツ人講師は、インザカーの生徒が見せる窓外のライブな景色を面白がった。
夕陽丘で高速を降り、まもなく右手に大阪星光が見えてきた。
この光景、目に焼き付いている。
6年前のいま頃と言えば、統一試験日まで残り10週という、かなり緊迫し始める時期だった。
当時は恋するような思いでその壮観に目を見張ったが、いまではすっかり見慣れてしまった。
試験直前にかけて乱高下した精神の起伏やかい潜ったはずの激戦のことなど家族揃って何ごともなかったかのように忘れ、息子がこの学校に通いあっという間に6年が経過した。
そんな感じでこれまた何ごともなかったかのように、春が当たり前な顔をして到来し、彼の地で息子の暮らしが始まることになるのだろう。