京都大丸に用事があったので家内と出かけた。
行きの電車。
家内と並び合って座り、それぞれ長男とラインでやりとりするから三人で会話してるも同然だった。
東大に行った友だちの下宿に大晦日は泊まるという。
西大和で大勢の仲間に恵まれた。
改めて夫婦でその恩恵に感謝した。
気持ち穏やかに過ごす車中であったが、仕事に関するメッセージが紛れ込んで、ほんの少し気持ちが波立った。
おかげで列車を降りるとき座席横に置いた帽子を忘れてしまった。
家内が大丸の一角で品を受け取る間、わたしは6階の階段踊り場で電話対応を行った。
いつか教えられた。
サムライ業にとって電話が刀。
いつでも太刀を抜けるようしておかねばならない。
電話の相手は何年も前に名刺交換だけした事業主の方。
大観覧車が回ってゴンドラが目の前で停まる。
新しい仕事は毎回そんな風にやってくる。
年始からまた忙しくなる。
ちょうど家内の用事が済んだ頃、電話を終えた。
凍てつく寒さの京都の街であった。
仕事から解放され、心晴れやか女房とそこらを練り歩いた。
祇園で昼の店を探し、花咲を選んでその個室で去りゆく一年を家内としみじみ振り返って過ごした。
そこから清水寺へと歩く。
ここも人の数が驚くほど少なかった。
ぶらり歩いて心がしんと静まった。
やはり京都は素晴らしい。
帰途、京都高島屋で食材購入を目論むがここだけは大変な人混みだった。
密の度合いに怖気走り、何も買わず退散することにした。
阪急電車に乗って梅田で降り、いかりスーパーでワインやら年越し蕎麦を買って帰宅した。
夕刻。
下りのJR神戸線はがら空きで、その寂しいような感に大晦日の情緒が溢れていて、今日一日のなかおそらくこの場面が最も永く心に残るのだろうと思われた。
夕飯もまた家内と二人。
紅白ではなくドラマ『夫婦の世界』を見ながらすき焼きを食べお節を食べ年越し蕎麦を食べた。
このように令和2年の最終日もいつもと同じ。
朝から晩まで女房と過ごした。
令和3年もそのようになるだろう。