午後、仕事の予定が変更となった。
場所は鶴橋。
たまたま難波にいた家内と上六で合流し、昼を一緒に食べることにした。
久々の明月館。
食道園と双璧をなすさすがの老舗。
肉も冷麺も絶品だった。
食後、時間が空いた。
ちょうどいい機会。
共通テストの試験会場を下見しようと話が決まった。
上六から急行で20分も揺られれば河内国分。
そこから国道165号線を南にくだり、近鉄南大阪線の線路を横切り大和川の支流を渡ると、目の前に関西福祉科学大学が見えてきた。
15分ほどかかったが、近いと感じた。
道は平坦で、行程は単純。
余計なことを考えることなく自身に集中できる。
だから、雨さえ降らなければリングへの花道として申し分ないコースと言えた。
が、しかし。
センター試験の後を継ぐ共通テストは未知の試験であり十中八九内容が難化する。
試験当日、全国の受験生が、鳩が豆鉄砲を食らったみたいな表情となることは間違いない。
9割は死守。
そんな目論見は出だしで崩れ、慌てて焦る消耗戦となること必至であるから、そうなっても持ち堪え死力を尽くせる胆力だけが頼りとなる。
さらに、時はコロナ禍。
間違っても熱など出せず、コホンと咳することも憚られる。
なんてことなのだろう。
今年の受験生には同情を禁じ得ない。
灰色に凍てついた、細く長い一本道を行って帰って、つくづく思った。
なんとか無事に切り抜けてくれればそれで御の字。
一刻も早い春の到来を切望するような気持ちになった。