振袖姿の写真が何枚も送られてきた。
隣家の女子もいつの間にか二十歳。
月日経つのは早いものである。
写真を見るうち家内はだんだん寂しくなってきた。
うちの息子は東京。
この正月も会えておらず、記念写真は疎か成人となった祝い事を何もしていない。
で、そんなタイミングを計ったように長男からの電話が鳴った。
家内の頭の中は、美容と料理が幾ばくかを占め、それ以外はすべて息子のことばかり。
恋する乙女といった状態と言え、だから電話が来れば脳の活性は急上昇し喜色満面となる。
大学のことやバイトのことなど、話は一時間以上に及んだ。
心に影差した寂寥はいつしか雲散霧散し、陽が昇ったようなもの。
家中がその光で照らされた。
家内が今後の豊富を語ってその勢いは止まらない。
二年前のときと同様、この春、東京で集まってお祝いをしよう。
どこのホテルに泊まって、どこでご飯を食べようか。
そんな話を聞いてるだけでこちらも楽しくなってくる。
命の源と言えば太陽。
家内にはその太陽が二つもあって、何があろうと日はまた昇る。
だからこの先もずっとずっと家内は幸せであることだろう。