韓流ドラマでは『SKYキャッスル』がいちばん面白かった。
そう家内と意見が一致した。
舞台は富裕層が集うエリア。
優雅に近所付き合いをしているかのようにみせ、その実、子の受験を巡ってとことん張り合い、嘘まで動員し互い見下し合う。
どぎつさ極める各家庭のマウント合戦が悲しいまでに人の本質を物語っていて、思い当たることも多々あったから第一話から最終話までずっと引き込まれ続けた。
やがてドラマを見終えたがその学習効果で眼力備わり、リアルな世界においてもその続きが目に映るようになった。
たとえばインスタ。
そこでも同様。
互い見せ合う心象にドラマで描かれたのと酷似したものがぷんと匂い立つ。
材料は様々。
富裕な実家、夫の職業、専業主婦という立場、子の学歴、クルマ、ブランドもの、留学体験、そして嘘。
挙げていけば、ドラマで網羅されたものばかり。
アピール過多に嘘八百という反則技が時折混ざる。
そんな舞台を透徹した眼で見れば、プロレスのリングと大差ない。
われらがマウント番長については見せ合い合戦においてここ最近は負けが込んできた。
訳あって夫婦でその動向にたまに眼をやってきたが、かつての勢いは失われ尻すぼみとなって久しい。
その分、ちゃちな小ウソの頻度増し、「幸せであることよりも、幸せそうに見られること」を是とする決め技も功を奏さなくなって、行間の貧相が色濃くなった。
とても幸せそうには見えないという状況が続いている。
そろそろ潮時。
悪あがきをやめリングから降りるときなのだろう。
蝶よ花よと願った時期は過ぎ去って、気がつけば蝶もなければ花もない。
これまで見下していた下々の地が、ここが居場所と呼びかける。
必要なのは潔さ。
負けを認めて地に足つければ、たちまち正気が戻って、ああ幸せ、と実感できるに違いない。