寒いからと渋ったものの無駄な抵抗。
家内にジムに連れられた。
ところが一歩中に入って怖気走った。
ほぼ満杯。
そこら中に人が蠢き奮闘の呼気が噴霧され、一つのマシンを取り囲み複数人がワハハ息吹を噴射する。
密室のなか回流する飛沫を富岳で絵にすれば、おそらく卒倒するレベル。
ここから逃げよ。
心のなかにこだました声は同一で、以心伝心、夫婦同時に踵を返した。
運動せずに済む。
そう思ってわたしは内心、ほくそ笑んだ。
が、ツケの払いからは逃れようがなかった。
この夜、リビングがフィットネススタジオと化した。
家内がインストラクターとなって言われるがまま。
飛んで跳ねてとエアロビみたいな真似事に始まり、スクワットに続いては各種腹筋を反復させられた。
仕上げはヨガ。
苦悶に顔を歪めつつ、家内の元気さに圧倒された。
ようやく解放されて風呂を終え、夕餉の時間。
夫婦で野性を晒し蟹と海老を鷲掴みにしていると、33期の友人から吉報がもたらされた。
なんとめでたい。
俗に最難関と呼び習わされる中学にこれだけ高確率で子らが受かる集団など珍しい。
夫婦で思うことはひとつ。
やはり33期は皆かしこく、その子どもたちも皆かしこい。
ふと、星光の校舎の裏で手打ち野球していた頃の場面が頭に浮かんだ。
あの中学生がいつの間にやら父となり、その息子らがたくましく育って軽く親を一跨ぎしていく。
共に過ごした中高6年の思い出も鮮やかに、道はその先の先へと続き今につながり、勢いを増して今を踏み越えていく。
そう思えば、感慨もひとしお。
時を追うごと若き後続者が現れ出て、今度は彼らが先頭に立って時間を牽引していくのであるから頼もしい。
そんなダイナミズムによって33期は拡張の一途を辿っていると言っていいだろう。