職場にて電話業務の最中、携帯が鳴った。
息子からだった。
手が離せないので息子とは話せない。
その着信画面をただただ眺めた。
根が心配性だからだろう。
息子から着信があるたび、何かあったのかと身構えてしまう。
電話を終えてすぐにかけ直した。
やれやれ。
この日も単なる近況報告であった。
バイトがこのところ忙しい。
中学入試シーズン真っ盛りだから朝から晩まで教室に詰めている。
結果は芳しくない。
成績上位層まで大苦戦を強いられているから東京圏の受験は熾烈。
それでつくづく思うのは古巣の仲間のこと。
西大和の東大1組のメンバーはいま思えば最強メンバーといってよかった。
彼らなら東京圏の中学受験でも大善戦したに違いない。
そんな話を聞きつつ物件探しについて進捗を尋ねた。
まだ動き出しもしていないという。
新入生の上京シーズンが迫る。
うかうかしているといい物件を取り逃がしかねない。
一旦、電話を切ってわたしは義弟に連絡をとった。
幸い、信頼置ける業者がいるという。
即座話がついて、息子のサポートをしてもらえることになった。
メールでその旨を息子に伝えると、しばらく後、再び電話がかかってきた。
不動産屋とアポが取れた。
誰それと一緒に行く、という。
誰それというのは、東大1組の同級生で、いまは東大に通う友人のこと。
なんと心強い。
気心知れた連れが揃いも揃ってツワモノばかりで、実に気軽に行き来している。
遠く離れた東京がコロナの影響でより一層遠くなった。
しかし、そこらじゅうに友だちがいてそんなメンバーで助け合って過ごしている。
そうそう、そういうことが一番大切。
心底そう思うから、根は心配性ではあるものの電話を終えて深い安堵を覚えた。