時刻はまもなく朝5時。
自室で仕事していると、家内が起き出しキッチンにて作業が始まった。
クロネコヤマトの集荷場が朝8時に開く。
まず今日は二男あての料理を仕上げ、朝一番で発送するのだという。
見るとここ数日の集大成がダンボールを囲んで一堂に会していた。
昨夕は冷麺も必要とガーデンズまでクルマを走らせ調達し、息子が喜ぶ品々が一揃い整った。
息子が上京し、「ああこれで料理の支度から解放される」と晴れがましく家内が言っていたのはつい先日のこと。
しかし、引退したのにリングに舞い戻る歴戦のボクサーみたい、家内は彼女の持ち場であるキッチンに戻ったのだった。
つまり、息子の上京は一つの節目に過ぎず、何かが終わった訳ではなくまた始まったというだけの話なのであった。
まず間違いなくうちの顔ぶれのなか家内がいちばん強い。
味方にすれば上昇気流が渦を巻き、敵に回せば奈落の底への口が開く。
引き続き、彼らのバックに最強母が陣取った。
まるで龍虎の背後に大魔神。
盛って盛って屏風に描けばそんな絵になることだろう。