KORANIKATARU

子らに語る時々日記

息子の語りにそそられる

大阪滞在中、京大やら神大やらの友人がそれぞれの大学を案内してくれた。

息子は早稲田との雰囲気の違いを肌で感じた。

 

違いを目の当たりにし思うところが多々あった。

概して、彼にとり有益な経験となった。

 

また、ズームで参加した東京星光会では良き出合いに恵まれた。

参加して良かった。

それが二男の感想だった。

 

今回の一時帰省は、図らずも自身の立ち位置を確かめそこから足取り確かに歩み出す、そんな意義深い内省の数日になったと言えるだろう。

 

二男が東京へと戻って、家にまた静寂が訪れた。

家内と二人、暮れゆく空を眺めつつリビングでぼんやりしていると長男から電話が入った。

 

毎回、おもしろおかしい雑談が繰り広げられる。

 

この日は映画について。

『ゲット・アウト』という映画を観たがオススメだという。

 

三年前、彼が事務所で勉強するかたわら、わたしは暇を持て余しその映画を観ていた。

 

彼も時折覗き見て、わたしはその映画について説明を加えていたが、彼は「まったく知らない、記憶にない」と言った。

 

当時彼が述べた単純な感想とは大違い。

 

黒人と白人のセリフの違いが実に凝っていて、そこに込められた作意を汲まねば映画の理解に至らない。

細かな解説を彼がし始め、わたしは電話の向こうに空返事しつつ息子の成長に感じ入った。

 

東京で暮らして2年が経過した。

引き続き英語が上達し、どうやら頭もよくなって、他愛のない話が題材だからこそ、内面の成熟具合がとてもよく理解できた。

 

息子はますます上を行き、老いてわたしたちは置いていかれる。

それが嬉しいと感じるのだから、子持ちの親はやはりどうかしていると言っていいだろう。

 

そして続いて二男。

 

親元を離れた方が成長は早い。

これは長男で実証済み。

 

あのちびっ子が、あっという間に大成長を遂げることになる。

そう思うだけで心楽しい。

 

何かオススメの映画はないか。

長男のその問いでわたしは上の空から正気にもどった。

 

『グリーンブック』などいいのでは。

頭に浮かんだのがその映画だけだった。

だからわたしはそれをイチオシだと言った。

 

二男に勧められ夫婦でこの映画を観たのはいまから二年も前のこと。

これでまた家族で共有する作品がひとつ増えることになる。

 

近いうち、家族で会う。

誰が口火を切るにせよ、必ず映画の話になるだろう。

 

長男が語り、二男が語る。

映画自体より、その語りの方にそそられる。

子持ちの親は、やはりどうかしている。

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