ダメージを受ければケアが必要になる。
不快感を残したままだと悪い流れが尾を引いてしまう。
さっさと気持ちを上書きしてしまうことが大事だろう。
金曜に家内が受けた心の傷を補修するため、この土曜、夫婦でサボった。
のんびり起きて、まずは朝からマッサージを予約した。
名人アキシノの手は家内に譲った。
90分、しっかり揉んでもらって、施術後の帰り道、軽快な足取りで夫婦でどれだけカラダが楽になったかを語り合った。
まるで背骨を付け替えてもらったようと家内が言い、全身に油でも差してもらったみたいだとわたしは言った。
昼食は示し合わせて食べず、夕飯に備えた。
心の上書きには焼肉が必須で、どうせならいちばん美味しいところでお腹いっぱい食べよう。
夫婦の意見は固く一致していた。
いまわたしはお酒を飲まない。
これは便利で、いつでもどこでもクルマで動くことができる。
だから行き先は宝園で決まりだった。
途中、桔梗堂で夜食のためのわらび餅を買い、鳴尾から乗って阪神高速を東へとひた走った。
個室で向かい合い、家内はビール、わたしはノンアルコールで乾杯した。
どんどん肉を焼いて、話題は息子たちのこと。
これがいちばん楽しくて盛り上がる。
来月の上京に備えて各自の予定を聞き取って、同時に肉を焼き、だから彼らとの食事の予約もステーキ屋や焼肉など、肉がその大半を占めることになった。
心ゆくまで上質の肉を堪能し、そして最後は極うまの冷麺で仕上げた。
上機嫌になると、家内のお喋りは間断がなくなる。
楽しく明るい笑い声を運んで夜の高速を西へと帰り、家内が見るからに幸せそうであったから、お腹同様、わたしの心も満ち満ちた。