日曜の朝はゆっくりと時間が流れる。
まもなく昼という時刻、家内とパスタを食べ、お茶でもしようとクルマで出かけた。
空は分厚い雲に覆われ、ときおり、お湿り程度の雨が降り、ときおり雲間から日が差した。
のんびりとケーキを食べて、フルーツなど買おうとマルナカに寄ったところ、夫婦して貼り紙に目がとまった。
足つぼマッサージ、初回は半額。
順々に施術を受け、買物の疲れをすっかり除去してから帰宅した。
荷をおろし、まだたっぷりと余力があった。
久々映画でも観ようと塚口までクルマを走らせた。
深く考えることなく選んだ映画が『パーム・スプリングス』。
出だしから外れて徹底的に面白くなく、座っているのが苦痛になった。
映画の途中で席を立ったのは生まれてはじめてのことだった。
さて、どうしようか。
そこらぶらついていると、家内が言った。
美味しい寿司屋がある。
料理教室の友だちにそう聞いた。
調べるとその名は「ふじ鮨」。
目と鼻の先にあり、店先を覗くと、ちょうど開店の時間であった。
一番乗りでカウンターに腰掛けて、柔和な大将のおすすめ処を味わった。
結構美味い。
子らを連れての再訪に値するからこの日いちばんの収穫と言えた。
大将と和やか歓談してから席を立つと、淡路島出身だという女将がおみやげだと言ってタコ煎餅をくれた。
休日の夕刻、行楽帰りのクルマで山手幹線は混み合っていた。
のろのろ運転のお供には煎餅が最適。
家内が封を開け、会話の合間、夫婦でぽりぽりかじった。
ふと思う。
ずっと一緒にいて、これが自然。
年季の入った夫婦には煎餅がしっくり馴染む。