週末はずっと雨。
天気予報はそう言っていた。
それなら家の片付けでもしよう。
そう決まった。
もともとが真面目気質。
空き時間があれば、わたしは仕事し家内は用事に充てる。
それがスタンダードな過ごし方であるから、雨なら片付けとなるのは実に自然なことだった。
夏に息子らがそれぞれ帰省する。
彼らの部屋の整理整頓から作業が始まった。
部屋を隅々まで掃除し、クローゼットのなかの荷物を引っ張り出した。
各種のプリント類には時代時代の彼らの手書きの文字が記されていて、懐かしくて愛おしい。
その度に手を止め夫婦で思い出に耽るから、タイムマシーンで過去を探訪するといったレジャーの様相を帯びた。
まだ新しい辞書や参考書、西大和や星光で配布された学習冊子など有用なものが幾つも出てきた。
譲り渡す年頃のいとこもいないので、捨てようとわたしは紐で結んで荷造りしていたが、家内が思いついた。
家内がミーちゃんだとすれば相手はケイちゃん。
高校時代から今に至るまでずっと仲がよく、ケイちゃんの二人の息子はいま中2と小4。
ケイちゃんに要不要を尋ねると、お盆休みにクルマで取りにくると話が決まった。
その方がありがたい。
参考書類も浮かばれるというものだろう。
昼になってわたしは事務所に寄った。
使っていない小型の掃除機を家に持ち帰るためだった。
その足で実家に寄った。
いま父がひとり。
たまに覗くのが息子の務めだろう。
ひととき過ごして帰り際、玄関先で父が言った。
おまえが来るとホッとして、帰ると寂しい。
そんなことを言われたのは初めてのことだった。
帰途、野田阪神の鳥清で家内が注文していた品を受け取った。
ここの鳥ポン酢は絶品。
息子らの喜ぶ顔が目に浮かんだ。
家に帰ってわたしはルンバを走らせ、細かなところを小型掃除機でキレイにしていった。
一方、家内は息子らに送るための食材の準備にかかった。
思えばこのように家内の時間はほぼすべてが息子らのために捧げられてきた。
お腹に宿ったときに始まって、各々ひとり暮らしをする今に至って変わらない。
それが家内の喜びで、その喜びの積み重ねは壮観。
母として後悔することは微塵もないだろう。
雨の週末。
家で過ごしてとても楽しく充実し、息子らへの愛情は増すばかりとなった。