自転車で前を行く家内が時々おどける。
後ろから見て、笑ってしまう。
向かうは、わしお耳鼻咽喉科。
土曜の朝はワクチン接種から始まった。
受付の感じがとてもよく、動き回るスタッフみなが優しくて親切。
安心感に包まれた。
夫婦並んで座って接種は一瞬で終わった。
長い針が奥深くまで突き刺さる。
そんな様子をテレビで何度も目にしていた。
が、想像していたような痛みはまったくなかった。
その呆気なさに夫婦で驚き、待合室で15分ほど休んでからクリニックを後にした。
自転車で前を行く家内がやはりおどける。
またしても笑ってしまう。
まもなくお昼という時刻。
家内が魚崎の中華を予約していた。
わたしがハンドルを握り、家内は助手席で間断なく喋った。
喧伝されるとおり、副反応が現れた。
注射された箇所に痛みが生じた。
誰かに肩を殴られた後、しばらく消え残る痛みといった感じだろうか。
眠気も覚えた。
家内の二万語がなければ運転の継続は難しかっただろう。
しかし、そんな副反応の症状もすべて中華で吹き飛んだ。
出だしの蒸し鶏からして絶品で、すべて美味しく、あらためてわたしは中華の奥深さに魅了された。
特に酢豚とあんかけカニ炒飯は記憶に深く刻まれた。
食後、芦屋のエトネに寄り家内がケーキを選んだ。
家内にはまったく副反応がなかった。
これみよがしに腕をぐるぐる回して、わたしの様子をみて首を傾げ、朦朧とするわたしを他所にテキパキと家事を済ませていった。
簡単に夕飯を済ませデザートを分け合い、あとはくつろぐだけ。
おのおの本を読んだり、一緒に映画を観たりして、弛緩の時間を過ごした。
わたしが長男で家内が長女。
だらだらすればそれだけで気が咎める。
そんな真面目気質の夫婦であるが、許される。
夫婦で意見が一致した。
雨の日も風の日もわたしは仕事し、家内は家事に全力投球し子育てを全うした。
頑張ったのだから、この先はのんびりできて当然。
残りの時間、大いに楽しもう。