珍しく朝の10時には家を出た。
昼前の打ち合わせ1件を皮切りに、午後に3件、夜に1件と予定が立て込んでいた。
日に5件も訪問が詰まる日など滅多にないことだった。
さあ頑張ろう。
そう思う一方で一日を思って気重さも同時に感じた。
電車に揺られながら手つかずの5件を思う。
ひとつこなすごとに気が晴れる。
そうイメージするが、現段階では未消化。
気重が出たり入ったりし、その分タスクの重量感が増すだけだった。
結局、何も考えないのが最良と顔面の力を抜いて阿呆となった。
あれこれ考える不毛な時間とは裏腹。
無心で業務する時間は矢継ぎ早に過ぎていった。
いつの間にか一件目が終わり、二件目の現場に急ぎ、それもスムーズに終わった。
昼を済ませ心気新たに三件目を終え、気づけばもう四件目が眼前であった。
ここでまた一息。
阿倍野でお茶休憩の時間を取った。
阿倍野と言えば従来は正宗屋がわたしの定番であったが、体質が変わっていま身体は甘味を欲する。
そして四件目を楽しくこなし、余白の時間があったので事務所に戻った。
雑務をこなしている間に時間が迫り、いよいよ最終五件目。
じっくり味わうように取り組んで、午後8時過ぎに完了した。
心地よい疲労を覚えつつ電車で帰宅し風呂を先にし、家内手製の餃子を食べて、思う。
ああ、家のなんと心地いいことだろう。
寝床についたとき、どういう訳か今朝の電車での時間がよみがえった。
その視界に映るのはこわばったわたしの心象そのものだった。
打って変わって、いま、くつろぎの真っ只中という空間が眼前にあった。
その落差に埋まるのは、仕事する日々の喜びだった。
毎日がとてもいい感じで過ぎていく。
至福の場所とも言える寝床にて、気持ちがより一層深くやすらいだ。