夕刻、電話が鳴った。
二男からだった。
自室にネット回線を売る営業マンがやってきたとのことだった。
すでに他社との契約を済ませあった。
あとは工事を待つばかりであるが、どちらが得か。
自ら即断せずわたしに電話してきたのだった。
飛び込み営業は相手にしない方がいい。
そう伝えると、その場で二男が相手に言った。
要らないので帰ってください。
一人住まいの学生などカモである。
今後、気をつけるよう息子に述べて電話を切った。
わたしにも覚えがある。
新聞屋、街の信用金庫、布団屋などがしばしばやってきた。
断るのが悪いと思うから、帰ってもらうのに難儀した。
最初から応答しない。
そう決めておくのが得策と言えるだろう。
まもなく今度は長男から電話がかかってきた。
近況を聞くがかなりハード。
そんな日々を経て加速度的に彼は成長し、思えば話す内容が数ヶ月前と比べても見違えた。
試練が男子を磨く。
まさにそういうことなのだろう。
半時ほど話し、お互い頑張ろうと励まし合って電話を切った。
わたし自身、翌日の業務が長丁場であったが息子に比べれば生易しい。
つまり、息子と話してわたしが力づけられたようなものであった。
何かあれば、両方の息子から電話がかかってくる。
「聞いてないよ」ということが起こらない。
だから、安心。
冬が深まる頃、ちょっとした宿を予約してある。
そこで久々、家族四人が合流する。
日中は自然を満喫し、更けゆく夜は積もる話を語り合って過ごす。
いい骨休めになるだろう。
その日まで、さあ、あとひと頑張りである。