KORANIKATARU

子らに語る時々日記

いついつまでも家内にとってはオムツ・ベイビー

息子たちに会える。

母親にとってこれほど胸躍ることはない。

 

上京に備え前日から家内は大量に肉を焼き、その他手料理をこしらえた。

終始、上機嫌。

子らがオムツをつけていた昔日のことまで懐かしみ、饒舌を奮った。

 

新大阪も近いがタクシーを使えば伊丹も近い。

駅のロータリーでタクシーに乗り、朝、空港まで20分もかからなかった。

 

待ち合いロビーの白雲台で朝食を済ませまもなく離陸。

あっという間に羽田に着いて、そこから渋谷まで30分ほど。

 

所要時間を考えても移動の負担を考えてもやはり飛行機の方が楽だと思えた。

 

いよいよ息子二人とご対面。

まず最初、予定のタイミングの合った二男と渋谷ヴィロンで待ち合わせた。

 

二男の好きに注文させて、所狭しとテーブルは料理で埋め尽くされた。

さすがに二男ひとりでは食べ切れず、わたしたちはそのおこぼれに与った。

 

団欒の時間もこれからというところ。

時間だと言って二男が先に席を立ち、わたしたちは二階席から渋谷の人混みを行く二男の背を見送った。

 

続いて、わたしたちも店を後にした。

行き先は長男の下宿。

日曜の下北沢は渋谷同様、大勢の人出で賑わっていた。

 

荷物を運びわたしはそれなり疲れていたが、あれもこれも必要と家内が言うので、持参する料理に加え駅前のピーコックストアで食料を追加で買い込んだ。

この母親魂、いつも思うが凄まじい。

 

少し歩くと住宅街になって人波は消え、重い荷を背負ってわたしたちは鎌倉通りをまっすぐ進んだ。

聞いていたとおり、長男は不在。

 

合鍵で部屋に入り食料を冷蔵庫に詰め、夫婦で分担して掃除にかかりプロ級の仕上げで部屋をピカピカにし、衣類をクリーニング屋に運んで作業を締め括った。

 

充実感にひたりつつあとは自由時間。

日暮れに憩う六本木界隈を夫婦で肩寄せぶらついた。

 

初冬の街を鮮やか彩るイルミネーションを満喫し、そろそろホテルにチェックインしようとタクシーで渋谷に着いたとき、計ったかのようなタイミングで電話が鳴った。

 

長男からだった。

いま渋谷にいる。

30分ほどなら時間が取れる、とのことだった。

 

それでホテルのロビーで待ち合わせた。

親がわざわざ東京まで来ている、顔くらい見せないとね。

彼はそう言った。

 

かつてのオムツ・ベイビーは律儀さも併せ持つ好青年へと育ったのだった。

 

近況を直に聞き、30分は瞬く間に過ぎた。

エレベーターで階下まで降り、長男の背を夫婦して見送った。

 

初日から息子二人に会えて、幸先のいい滑り出し。

家内はたいそう喜んだ。

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2021年11月21日 上京