東京滞在の三日目は日曜日だった。
朝、家内に連れられこの日も銀座を訪れた。
開店と同時、三越の二階にあがってラデュレで紅茶を飲んでマカロンを食べた。
のんびり過ごし、そこから六本木に戻った。
昼食にウルフギャングを予約してあった。
正午ちょうど、二男が現れそして長男も現れた。
近くに東洋英和があることからも分かるようにこの地域自体がハイソであったから店内も同じ空気に満ちていた。
みなが富裕に見え、身なりよく美形で洗練されて、そうでない人など全く見当たらなかった。
まるで絵に描いたよう。
いい暮らしをする幸福な家族の姿がそこにあった。
だから皆が優しく、誕生日を祝う場面が見られた際には、ケーキが運ばれてくるのに合わせ客全員が手拍子をし誰かのバースデーを祝福した。
そんな風に誕生日を祝ってもらう少年少女を息子らは初めて目にしたのではないだろうか。
こんな暮らしが実在している。
息子らにとってはいい勉強になったことだろう。
料理が運ばれてくるとき、わたしたちもそれなりの注目を集めた。
肉ばかり注文し、それもかなりの量を頼んだから、料理は4人がかりで運ばれてきた。
その壮観は嫌でも目を引いて、大阪であれば「あの家族、どんだけ食うねん」と皮肉のひとつでも向けられる対象になったに違いない。
肉がずらりとテーブルに並んで息子らの顔が童心に返ったことが見て取れた。
せっせと肉を口に運ぶ姿が子どもみたいで微笑ましいが、赤ワインを飲むのであるからもう子どもではなかった。
お代は過去最高記録をマークした。
家族でクリスマスをゆっくり過ごすことなど滅多になかったからいい記念となった。
お代が満足度を点数表示しているようなものであった。
家内のお店のチョイスにわたしは感謝した。
各自予定があるとのことで店を出たところで解散となった。
わたしたちはスタバでコーヒーを飲み、慶應義塾大学に寄ってぶらついてから空港に向かった。
搭乗口のゲート前で家内と打ち上げの時間を持った。
ハイボールで乾杯し鯖寿司をつまんで旅の思い出にひたった。