朝方は小雨だったが、昼を過ぎて雨脚が強まった。
することもないので自室で仕事をしていると、買物に行こうと誘われた。
助手席に乗り家内の運転で芦屋に向かった。
先ごろ開店したばかりのビッグビーンズは大盛況だった。
第二駐車場まで満杯に近い。
今回の出店は大当たり。
経営者の会心の笑みが目に浮かぶ。
カートを一つ所に置き、家内と手分けして食材を集めた。
色々な食材があって買物が実に楽しい。
また、場所は芦屋。
客層が大阪市内と全く異なり、ハイソな雰囲気に目を見張り店内で過ごして飽きが来ない。
いま芦屋の土地柄を最もビビッドに反映している場所がビッグビーンズ。
そう言って異論はないだろう。
買物を終える頃、雨が上がっていた。
帰途の車中、今夜何を観ようか夫婦で話し合った。
大河ドラマも途中で見飽きて、いま一緒に観るドラマが払底していた。
しばし考え巡らせ、思い当たった。
この日の朝日新聞のフロントランナーで米国ドラマ『パチンコ』が取り上げられていた。
25日からアップルTVで配信が始まったとの記載があった。
帰宅し風呂を終え、土曜日なので家内に付き合いビールとハイボールを飲んで夕飯を済ませ、わたしはFireTVにアップルTVのアプリをダウンロードした。
ソファに並んで座って、第一話を観始めてまもなくわたしたちはドラマ世界に引き込まれていった。
時系列で進む原作の小説とは異なり、四世代に渡る物語が同時進行で進んでいく。
人の想念のなか確かにいろいろな時間が同時に流れているから、主人公ソンジャの生涯を描く上でこの方がリアリティを伴っていると言え、描かれる時間の厚みも時系列であるより増して感じられた。
若きソンジャが描かれ、老いたソンジャが描かれ、行き来する。
これぞ人生、そんな説得力が画面に備わって、だからまだ伏せられる「間」の時間に関心が吸い寄せられ、果たして彼女の運命には何が待ち受けるのだろうと強く感情移入してしまうことになる。
第三話まで配信されていて、わたしたちは第三話までぶっ通しで見続けた。
何があろうと子を守る。
子を持って親が胸に刻む強い決意について、わたしたちは親として学び直すことになった。
次の配信は4月1日。
週末は夫婦で『パチンコ』ということになるだろう。