三日間連続でハードなヨガを受け、家内は草臥れ果てていた。
この日曜は家でゆっくり過ごすという。
だから武庫川を走り終えた後、わたしはひとりで家を出た。
目的もなくふらりと電車に乗って、母の日であるから母と一緒に食事しようと思い立った。
かつて母の日は母が好物とする寿司を家まで届けたが、こんな天気のいい日は外で焼肉だろう。
わたしはひとりでそう決めた。
考えずとも足は鶴橋のアジヨシに向いた。
正午過ぎであったが、ちょうど二人掛けのテーブルが空いていたのでそこに座った。
まずはビールを頼み、グラスに注いだ。
出だしはユッケで、続いてロースを頼んでイチボを追加した。
箸休めはニンニクで焼き物の締めには特上のミノを選んだ。
そしてもちろん最後は冷麺。
母は冷麺が好きだった。
途中から涙が幾筋か頬を伝うが仕方ない。
食べ終えて、涙をふいて店を出た。
初夏の陽が差し込んで、日頃鬱蒼としたガード下にも光が満ちて、またどっと涙が溢れ出そうになったが必死にこらえた。
母は不在でも母の日は母の日。
また来年もどこか二人席にて食事しようと思う。