KORANIKATARU

子らに語る時々日記

母の日、二人席にて冷麺を食べた

三日間連続でハードなヨガを受け、家内は草臥れ果てていた。

この日曜は家でゆっくり過ごすという。

 

だから武庫川を走り終えた後、わたしはひとりで家を出た。

目的もなくふらりと電車に乗って、母の日であるから母と一緒に食事しようと思い立った。

 

かつて母の日は母が好物とする寿司を家まで届けたが、こんな天気のいい日は外で焼肉だろう。

わたしはひとりでそう決めた。

 

考えずとも足は鶴橋のアジヨシに向いた。

正午過ぎであったが、ちょうど二人掛けのテーブルが空いていたのでそこに座った。

 

まずはビールを頼み、グラスに注いだ。

出だしはユッケで、続いてロースを頼んでイチボを追加した。

箸休めはニンニクで焼き物の締めには特上のミノを選んだ。

 

そしてもちろん最後は冷麺。

母は冷麺が好きだった。

 

途中から涙が幾筋か頬を伝うが仕方ない。

 

食べ終えて、涙をふいて店を出た。

初夏の陽が差し込んで、日頃鬱蒼としたガード下にも光が満ちて、またどっと涙が溢れ出そうになったが必死にこらえた。

 

母は不在でも母の日は母の日。

また来年もどこか二人席にて食事しようと思う。

2022年5月8日昼 鶴橋 アジヨシ