朝は和食にしようと家内が言うので、その意向に合わせ、たん熊で朝食をとった。
炎天下でも快調に走り切れるよう、二男はいまカラダを削ぎ落としている。
だから、わたしたちだけお粥をお代わりした。
食後、二男はいち早くチェックアウトし京都の街へと繰り出していった。
家内は部屋でくつろぎ、わたしはジムで筋トレし、前日同様、その場で這うようにしてマシンの傾斜を駆け上った。
朝から目一杯カラダを動かし汗を流すと清々しい。
昼を前にホテルを出て、家内の運転でドライブを楽しんだ。
足繁く京都に通う家内であるから、微に入り細に入り詳しく、まるでガイドしてもらっているようなものであった。
桂川沿いを走り渡月橋を渡り、市内に戻って各所を走って約一時間ほど。
小さな街であるから、それで一通りを駆け抜けることができた。
昼食の予約は午後一時。
ハイアットリージェンシーのトラットリア・セッテを家内が予約していた。
朝、運動を済ませていたから、罪悪感なくピザとパスタをぱくついた。
そして、食後の行き先がこの日のメインだった。
そもそも三十三間堂で昼を食べたのも、それが理由だった。
食事すると駐車場が三時間タダになる。
ホテルにクルマを置いたまま、鍛金工房 WESTSIDE33へと足を運んだ。
先日、緒乃を訪れた際、店主がオススメしていたから、この再訪が家内の念願となっていた。
わたしは何も感じないが、料理好きだと道具を見るだけでイメージが膨らみ、心が弾む。
わたしは所在なく過ごし、家内は店員さんを質問攻めにした。
選びに選んで行平鍋を蓋付きで買い求め、身を飾る品を手に入れたとき以上に家内は喜んだ。
やはり家内は虚実の実の側で生きる女性なのだった。
灼熱のなかホテルの駐車場に戻って、ここからは日常へと道が続く。
わたしが運転席に座って、出町ふたばで予約していた豆餅を引き取って、あとは一路、自宅へとクルマを走らせた。
もちろん日常の幕開けは食材購入。
地元のコーヨーで息子のためにあれこれ食材を調達する料理人の目は爛々と輝いていた。