たまに仕事で遅くなる。
この日は午後八時を過ぎての帰宅となった。
駅を降り、歩いて数分。
まもなく家が左手に姿を現した。
リビングのある二階だけでなく一階にも三階にも灯りがともって、見慣れた家が煌々と光って見えた。
この日、長男が帰省した。
前夜、同じ会社の内定者と遅くまで食事し、朝、汽車に飛び乗った。
荷物を家に置いて西大和の友人らと六甲山を駆け上がり、西宮北口で食事して、まだ余力があったのかエニタイムにて友人らとワークアウトに取り組んだ。
二男も合宿から戻っていたから、家に二人の息子が出揃った。
先日、月と木星が接近し東の夜空を彩った。
そんなニュースがあったことを思い出す。
親はバカ。
息子が光って見えるのだから、何か患っているとでも言った方がいいだろう。
家にあがるとそこにかつての子熊二匹の姿があった。
そして家内がにぎやか料理に勤しんでいた。
懐かしい光景が、光量を増してそこにあった。
これはめでたい。
さあ、飲もう。
わたしは冷蔵庫を開け、迷うことなくビールに手を伸ばした。