何か購入があった旨の確認メールが届いた。
アマゾンの履歴をみるとプライム・ビデオで長男が『夜と霧』を購入していた。
その昔、わたしはよく映画をみていた。
いい映画があればそのDVDを息子らに渡し、是非とも観るよう促した。
勉強しろと息子に言ったことはない。
そんなことを言われたところで効き目がないことをわたし自身が熟知していたし、実際のところ、勉強などそこそこでいい話であり「やるときはやる」程度で十分、そう考えていた。
一方、映画については事あるごとに勧めてきた。
人が手掛けるアートのなかの最高峰と言ってよく、映画に触れて得られる情報量は凄まじい。
だから、観れば内に多種多彩な情報がアーカイブされ、つまり養分となって蓄積されていつか何かの役に立つ。
そのように映画に関しては積極的な姿勢で一貫していたが、『夜と霧』についてだけは、あまりに苦しいその内容にたじろぎ、結局、息子らに渡さずじまいとなった。
あれから何年経ったのだろう。
わたしが勧めるまでもなく、息子はひとり勝手にアクセスし、その映画を観たのであるから感慨深い。
今後は息子らの方から映画についていろいろ教えてくれるに違いない。
男三人で集まれば、お酒を飲みつつずっと映画の話ばかりする。
そんな様子が目に浮かぶ。
共通の趣味が備わった。
勧めてきた甲斐があったという話だろう。