ほどよく冷え込みランニングには絶好の日となった。
夕刻は武庫川を走って前日と同じく夜はノンアルで過ごす。
そう思っていたが、家内から連絡が入った。
エステが終わっていま梅田にいるという。
はいわかりました、とその足でわたしは梅田に向かった。
ルクアの地下は混み合っているが最上階は人もまばらだった。
一体これまでなぜ混み合った場所で押し合いへし合いしていたのだろう。
昔なつかしの店に入った。
かれこれ七年前。
星光の入学式のあと、ピザがいいと二男が言うのでここを訪れた。
三人で食べ始めてまもなく家内が思いついた。
学校帰りの長男がそろそろ大阪駅で乗り換える時間である。
駅で待ち伏せて長男も連れてこよう。
わたしは引き続きビールを飲みテーブルで待機し、家内と二男が大阪駅へと走った。
携帯も何も持たない長男をそれで本当に見つけて家族四人が合流したのであるから驚いた。
だからその日は特に印象深い。
あれから七年も経過したというのが信じがたい。
夫婦で思うことは同じだった。
百貨店をパトロールして帰ると家内が言うので、わたしは一足先に家路に就いた。
ワイン一本やそこらでは飲み足りず、ひとり二次会に勤しんでいるとメールが入った。
抽選結果のお知らせとの標記があって、酔いが吹き飛び身構えた。
このほどブルーノ・マーズが緊急来日するとあって、ダメでもともと、半ば冷やかしでチケットを申し込んでいたのだった。
かなりの倍率であると聞いていたから期待感も薄く、発表日のことなどすっかり忘れていた。
だからそこに当選との表示を見たときには声が漏れ出るほど歓喜して、早速家内に知らせ、そして同じく家内もたいそう歓喜した。
で、夫婦の頭に浮かぶのは二男のことで、ブルーノ・マーズをこよなく愛する二男こそがこのチケットを手にするべきだろうと意見も一致した。
イギリスに短期留学に赴いたのは彼が中三の夏だった。
好きな曲はと聞かれればBruno Mars の Count On Meと答えていたに違いなく、今回の公演でもその曲が歌われるのではないだろうか。
ブルーノ・マーズが急遽来日するのと同様、再来週の土曜に二男が急遽帰阪し、母子にてブルーノ・マーズに間近に迫る。
わたしは会場に行かないが、当の二人以上にこの喜びを噛み締めている。
こんな日が来るなんて。
人生は良いことに満ち満ちている。