早稲田から一駅、本郷からも一駅。
待ち合わせの利便を考え家内が神楽坂を選んだ。
店はいま人気の亀戸ホルモンで列に並ばずとも神楽坂店なら予約ができた。
そしてさすが家内であった。
店名にホルモンとあるように赤身の肉のラインナップが手薄で、それだと息子たちにとって物足りない。
それで事前に店に電話し特別に赤身の肉を取り揃えてもらっていたのだった。
午後八時。
店の前で待っていると長男が現れ、まもなく二男も姿を見せた。
これにて四人が集結。
沖縄でわかれて以来、一ヶ月ぶりの再会となった。
夫婦揃って日頃、彼らが小さかった頃の写真ばかりに目をやっている。
だから大きくなった姿を目の当たりにするとその度に感慨深く、あのちびっ子たちがいまそれぞれ東京で一人暮らしをしているのだと思うと、更に感慨が深まった。
そんな思いを胸に彼らの近況を聞き賑やかに食べて飲んだ。
一人の単価相場が5〜6千円の店であるが、お代がその倍となったのはもちろん息子らが普通の三倍食べるからであった。
一体どれだけ食べるのだ。
居合わせた客たちのなか、やはりいつもの通りわたしたちの注文する分量が群を抜いていた。
食事を終え家内が息子たちそれぞれに手紙と土産を渡した。
家内にとってこの世でこの二人ほどスペシャルな存在はなく、それは彼らがこの世に登場してから今に至るまで一貫して変わらない。
手紙の文面はさりげない。
だが行間には愛が溢れていた。
金曜の夜、飲み客で賑わう神楽坂の通りをぶらり四人で歩いて所々で記念写真を撮った。
そして飯田橋までたどり着き、長男は本郷へ、二男は高円寺へと帰っていった。
では、また来月。
息子たちにそう言って、わたしたちはタクシーに乗りホテルに向かった。