家内に頼まれ夕飯にするための刺身と焼鳥を買って帰宅した。
土曜に二男が帰阪しとんぼ返りする。
その二男に持たせる料理の支度があるというので、ジムへはわたし一人で向かった。
玄関でわたしを見送る家内が写真を見せてくれた。
ジムを始める前のわたしと最近のわたしの写真だった。
どう見たって今が引き締まっていて、強く頼もしく生気にあふれて見える。
どっちがいいか明らかだった。
今日はジムでじっくりカラダを鍛えよう。
素直にそう思ってオカンの自転車を駆って、夕暮れの街路を西宮北口へと向かった。
この「じっくり」といった心構えで結果が変わる。
そう改めて学ぶことになった。
じっくり、と思うことで気持ちに落ち着きが生まれ、一つ一つの工程における滞空時間が長くなり運動の充実度が増す。
敷衍すればこれは仕事でも同じだろう。
あれもこれもと焦ってしまうと、何かが削がれる。
仕事は上滑りなものとなり、あれもこれもと意気込んだ割には結果は尻すぼみでエネルギーだけが空費される。
どうやら何であれ、事にかかる際には「間」を含み込むくらいの余裕をもつのが大事と言えそうだ。
そしてコツは簡単で、少しばかり呼吸を深くすればこと足りる。
なにかプレッシャーがかかって気が急くようなとき、ふっと一息、深呼吸する。
この「間」にたっぷり助燃性の酸素が取り込まれ、だからしっかりよく燃えるということになる。
ジムを終え、夕飯に添える飲み物を買うためガーデンズの成城石井に向かっていると流れる曲がAt Seventeen になり、I learned the truth at seventeen とJanis Ianが歌って、感慨深い。
ぼちぼち学んでいまわたしは53歳。
青く未熟な17歳のときより多少は熟したが、まだまだこれから。
老獪に時間を引き延ばし、残りの人生をじっくり味わい尽くそう。
そう思ってだからわたしはチャリンコの速度を緩め、秋の夜風を胸いっぱい吸い込んだ。