昼を過ぎて事務所を後にした。
遠方にて新規の面談があり、長い時間にわたって電車に揺られた。
やや大きめの案件だったので道中ずっと緊張感が付きまとった。
いくら場数を踏んでもこればかりはどうしようもない。
目を閉じ、心静かにその場所へとわたしは運ばれていった。
仕事が増えると昔は手放しで喜んだ。
しかし、いまは押し寄せる忙しさについても思いが至る。
スタッフにのしかかる負担はどれほどのものだろう。
そう慮り、自身の若い頃を思い出し、彼らだって向かっていくしかないのだといつもと同じ結論に達した。
腹を括るしかなかった。
面談を終えて表に出るとすっかり日は暮れ、冬の夜に手招きされるがまま、わたしは新長田で途中下車し古くから馴染んだ店へと吸い込まれていった。
ビールを頼み、肉を焼いた。
さあ、がんばろう。
自身を励まし、ビールをお代わりし肉を追加し、そして更にまた自身を励ました。
冷麺で仕上げ、家内のみやげにハラミと上ミノを焼き、焼肉丼を注文した。
帰途、やはりストレスフルな一日であったからだろう、わたしはもう一軒はしごした。
わたしの場合、代償行動は食として出現する。
ストレス感が強ければ強いほど食べる量が増える。
なんとこのカラダは原始的なのだろう。
いま、かつてより8キロほど体重が減った。
スタッフにどれだけわたしが助けられているか。
体重の変化から推し量ることができる。