週末の金曜、仕事で京都へ赴いて昼から業務に掛かって夕刻には片付いた。
引き上げるときの感じがやはりいい。
出先へ向かう際に生じていた緊張感は消え失せて、充実感と解放感が胸の内で同居しじゃれ合ってとても気分がいい。
さて、何をして帰ろうか。
まずは家内に連絡し、おみやげについて聞いた。
家内の言に従い、京都駅地下のマールブランシュにて女房用に16枚入り、息子用にそれぞれ24枚入りの茶の菓を買って、続いて伊勢丹の食料品売場へと移動した。
そこで和久傳の鯛ちらし弁当を買って、これで任務完了。
わたしは自由の身となった。
さてさてと、食べログで上位順に見ていって、寒さ募る京都であったからお好み焼きがいいのではないかとピンときた。
それで「山本まんぼ」へと向かった。
京都駅の賑わいを背にして歩き、寂寥感がただよい始めたあたりで、店を見つけることができた。
カウンターに一人座ってビールを手始めに、定番どころを頼んでいった。
焼き上がるプロセスを眺めこれはうまいと確信したとおり、一口たべてほっぺが落ちた。
仕事を終えた後、これまで適当な店に入ってきたが、食べログでリサーチすればめっけものに出合う確率があがる。
いままでの人生は何だったのか。
少しばかり悔いつつ、絶妙の焼き具合とソースを含めた具材の三位一体に感嘆しつつまんぼ焼きを食い、間にべた焼きを挟んで、焼きそばでしめ、これまた細麺の硬さ具合が絶妙で魅了された。
女房へのサプライズみやげとしてまんぼ焼きを一つ持ち帰り、店を後にした。
カラダが温まって京都の底冷えさえも心地良いと感じた。
お腹を空かせた女房から、今どこ、と再三メッセージが届いた。
いま京都駅、いま高槻駅、いま大阪駅、いま尼崎駅とわたしはその都度リアルタイムでメッセージを送った。
そしてまもなく家。
再会の瞬間が眼前に迫っていた。
家に着いて、わたしは真っ直ぐリビングへの階段を駆け上がった。
わたしが見立てたとおり、喜びをもって家内が真っ先に反応したのは、まだ温かみの残るまんぼ焼きだった。
鉄板焼きの上で食べるともっと美味しい。
わたしは自慢げに言い、家内の食べる様子に目を細めた。