3連休だったはずだがその初日に急な仕事が入った。
どのみち他には、走りたい、泳ぎたいという欲求しかなく、そんなものはいつでもできる。
一昔前なら3連休となれば3日とも仕事に捧げるのが普通だった。
初日で済むだけ恵まれた話と言えた。
土曜の事務所は無人だった。
ひとり静かに作業を進めた。
あれこれ電話がかかって、てんやわんとなるのはしんどいが、じっくり仕事に向き合う時間は悪くない。
寡黙な稼働が性分に合っているのだった。
昼は近所の店で済ませた。
なんの変哲もない味のラーメンが、独りで作業する身にしっくり馴染んだ。
スムーズに捗って夕刻早い時間に仕上がった。
ここで込み上がる爽快感と言ったらない。
家内はヨガの後、その仲間と出かけるとのことで今夜は不在。
だからわたしは寄り道して帰ることにした。
行き先は立花の正宗屋で、これまたなんの変哲もない普通の居酒屋であり、ひとり匿名の者として安らいで飲むのにこれほど適した店はない。
前夜の影響で口がB級にチューニングされていた。
焼きそばに卵を落としてもらって食べるが、こういった店はこういうのがとても美味しいから我ながらベストチョイスなしめと言えた。
仕事があっても、自由に過ごす一日と何ら変わりがない。
そんな3連休の初日、やはり気分がいいから、駅を降りわたしの足は自然、二軒目へと吸い寄せられていった。