金曜は週末。
だから仕事が終われば、さあ乾杯となるところ、結局この日はノンアルで過ごした。
仕事を終えての帰途、今夜の飲み物を調達しようと酒屋に寄った。
が、しかしワインのボトルに手を伸ばしたところでわたしの心が囁いた。
これも単なる習慣。
ほんとうのところ別に酒が飲みたい訳ではない。
土日へと続く自由時間の入り口。
明瞭な頭のままゆっくりと本の頁を繰る方がいいのでは。
わたしの心はわたしに本音を告げ知らせ、そうと分かればどちらを選択するかは明らかで、せいせいとした気持ちになってわたしは手ぶらで酒屋を後にした。
家に着くと、家内が買い物に出かけるところだった。
ちょうどよかったと促されるまま、わたしは助手席に乗せられた。
西宮のパルヤマトは肉と魚の品揃えが群を抜いて良く、夕刻6時をすぎると、そんな抜群の品が2割引などになる。
つまり、家内にとっては儲けの大きい書き入れ時ということになる。
いつもどっさり買うから店の人からどこか料理屋の女将と思われているかもしれない。
実際、キッチンで長い時間を過ごし、大量に料理をこしらえるから、それもあながち的外れなことではないだろう。
ただ客はたった二人。
長男と二男で、わたしは客というより単なる味見役と言える。
いつもそうだがここ最近も息子たちは何やかやと頑張っている。
そうと分かると母としてじっとしていられない。
人生を頑張っている息子たちに対し、母としてできることと言えば限られて、だから美味しいもの作って彼らの元へとせっせと送る。
息子たちが奮闘し、家内がまさに親身になって二人を応援し、そんな家族のなかに身をおいて、わたしひとりアホみたいに過ごす訳にはいかないだろう。
家族の頑張りが励みになって、わたしも少しはマシな人間になろうと日々仕事に精を出し、息子らの関心領域に合わせしっかり読書し知識を拡充しようと、知らず知らず心がけることになる。
できることは限られているが、いくつになっても自分を高め成長したいとの意欲が湧くのであるから、ほんとうにこの家族に出会えてよかったと心から思う。