祝日の朝、家内と共に梅田へと出かけた。
日頃は仕事の行き来で素通りするばかりだが、関西最大の繁華街でありかつ電車で15分と至近。
たまにはそこで遊ぼうとなったのだった。
人で混み合う前を狙って買い物を済ませるつもりが、すでに大勢の人で賑わって、そこにいるだけでかなりの体力を消耗することになった。
だから昼前にはお腹が減って、人混みにも疲れを感じたから梅田の外れで食事することにした。
「大阪松下」まで徒歩で10分強。
慣れた道だったから距離を感じなかった。
思ったとおり人もはけ、混み具合もほどよい感じ。
昼からビールを注ぎ合って、つまみからはじめてわたしは2枚、家内は1枚の蕎麦で締め括った。
アルデンテで風味よく、のどごしもよくここの蕎麦は抜群においしい。
関西1、2と言っていいだろう。
続いてまた梅田の中心地へと戻ったのは、映画を観るためだった。
ステーションシネマで公開されている『別れる決心』のチケットを予約してあった。
映画館へと向かい、そこではじめて知った。
わたしたちが通うジムがここにも入っていた。
ビル最上階で運動するのは気分がいいに違いない。
見学しようと思ったが、西宮北口同様、休館日だった。
『別れる決心』は観終えて後、じわじわと感動が深まっていく映画だった。
いろんなシーンが印象に残り、鑑賞後、様々な場面の断片が蘇っては消えていった。
人の感情は言葉のみならず、視線や仕草や呼吸といった行間にも表れ出る。
目を凝らせば、あちこちから感情が溢れ出している。
それが映像によって実に巧みに捉えられていた。
しかし、そのような雄弁も、言葉ではないから行き違う。
そして、突き詰めれば言葉でさえも一意ではなく、それが導くラストはなんとも切ない。
そういう意味で、人は溢れ出しつつ、かつ同時にどこまでも閉じられた存在と言えるだろう。
そんな二律背反のはざまに置かれて掻き消える人の孤独が胸を打った。
夫婦で映画について語りつつ、阪神百貨店に寄った。
案の定、空いていた。
あれこれ試飲させてもらってワインを2本選び、催し会場でサバ博が開催されていたから軽く飲んで食べた。
ああ楽しかったと家に帰りこの日届いたカニをそれぞれ一杯ずつ分け合った。
夫婦で向かい合う横にiPadを置き今後旅する土地の映像を流し、それを横目にワインを注ぎ合った。
見かけによらずカニの身がたっぷり詰まっていて、食べ切るのにずいぶんと長い時間がかかったが、その分、多くの映像に触れることができた。
近くで遊び、遠くでも遊ぶ。
いろいろな場所に夫婦の思い出がこの先も刻まれていくことになる。