息子からメールが届いた。
友人が合格したとのことだった。
これで友だち全員の大学入試が片付いた。
彼らはすこぶる仲がいい。
いまもそうだが、その仲は中一のときから始まった。
昼となれば蕉蕪園に集まって、よく一緒に弁当を食べた。
そこで若き戦士たちは将来の夢や抱負を語り合った。
遡って江戸期のこと。
そこには名のしれた料亭があった。
遠く瀬戸内に浮かぶ船影まで見渡せ、上町台地ならではの景観を誇った。
地名に夕陽ケ丘とあるとおり、名だたる歌人が夕映えの光に照らされて歌など詠んだ。
若き彼らが蕉蕪園に集まり、夢を語り合っていたというのも暗示的なことだろう。
いつかそれぞれ、ちょっとした人物となる。
集まって食事するなら、そこそこいい場所を選ぶはずで、昔話で盛り上がる。
「中一の頃からこんな風に飯を食っていたね」と彼らは思い出すに違いなく、蕉蕪園でみた若き友人らの面影と今を重ねて懐かしみ、「おい、あの夢はどうなった」と半ば冷やかすかのように励まし合って互いの現在地点を喜び合う。
彼らの仲は蕉蕪園にて育まれ、これからもそう。
大阪星光66期のメンバーもまた根っこで繋がる輪の中にあるのだった。
そして、この吉報をきっかけに、母らの行き来も再開されるに違いない。
コロナ禍もようやく出口に差し掛かり、かつての日常生活の景色がまた戻る。
今年卒後35周年を迎える33期の輪もまた、賑やかに再起動されることになるだろう。