GWといっても旅行するなどかつては叶わぬ夢であった。
だからどのGWを振り返ってみても何をして過ごしたのか印象的な記憶がない。
仕事の仕込みにじっくり勤しみ、遊ぶと言っても散発的にその合間、家族と食事に出かけたくらいだろう。
行き先も限られて明石の寿司大和か長田の平壌冷麺かくらいがもっぱらだった。
当時、何を食べていたか。
化石の断片が昔日の真相を雄弁に物語るように、外食先によって当時の経済力が精度高く推察できる。
幸い息子たちはラグビーに取り組んでいた。
だからGWであっても暇を持て余すということはなかった。
練習があれば練習に出かけ、練習がなければ前の公園でトレーニングに励んだ。
そしてこれまた幸いなことに兄弟がいることは素晴らしく、休みの日であっても練習相手に困ることもなかった。
暇を見つけてはカラダを鍛える。
それが習慣となって根付き、結果、二人揃って頑丈に育った。
頑丈さは男子にとって欠かせない身だしなみみたいなものであり、身につけるべき一種の教養とさえ言っていいだろう。
いま二人は青年となり実に逞しく頼もしく、そのタフネスがこの先も失われることはない。
あの道がこの道へと続いていた。
ラグビーについても同じことが言えるのだった。