聞こえてくるのは鳥のさえずりだけで、耳を澄ませばかすか波音も感じ取ることができる。
そんな静かでのどかな日曜の朝、ジムで精を出す人など誰もいなかった。
好き放題マシンを独占し、忘我となってカラダをとことん追い込んだ。
たっぷり汗をかいて、続いてはスパに移動した。
こちらはサ活する男性諸氏らでそこそこの人の入りだった。
朝の出だしからすっかり整って、同じくスパ活を終えた家内と合流しホテルをチェックアウトした。
目指すはサンヨネで、ここで地元の良質な食材が手に入ると耳にしたから外せない。
スイカとメロンを手始めに魚介も含めてたっぷり買ってクルマに積み込んだ。
そして目と鼻の先にある蒲郡駅まで家内を送って、ここから別行動となった。
日曜と月曜なら空いている。
前夜二男から連絡が届き、それで急遽ホテルを探した。
プールとジムとサウナが必須であるから空きを探すのは簡単ではなかった。
ダメ元でサイトを覗いたヒルトン東京に運良く一室空きがあり、そのプレミアムツインルーム を予約した。
もちろんわたしは仕事があるから帰らねばならず、息子との交流は家内に託した。
家内を見送り、わたしは懐に携えてあったメガシャキと睡眠打破をごくり飲み干してから、アクセルを踏み込んだ。
三河湾オレンジロードをひた走り、音羽蒲郡インターから高速に乗った。
道は空いていた。
アクセルを踏み続けること二時間半。
予定より早く家に到着することができた。
家に着いてすぐ庭に水をまき、屋内の花にも水をやった。
洗濯にかかってそれが終わるまでソファに寝転がった。
ハードに運動し根を詰めて運転したからだろう、かなりの疲れを感じた。
ホテルもいいが、我が家もいい。
この居住感をしのぐ空間はそうそうない。
心からそう思った。
午後5時、食事に出た。
適当に目が合った店に入って、食べて気づいた。
そう言えば、この日はいとまがなくて朝から何も食べていなかった。
だからかもしれない。
すべてがおいしく感じられ、こんなおいしい料理はそうそうないと本気で思った。
まもなく家内からメッセージが届いた。
ホテルの中華料理屋で待つこと30分。
二男が姿を見せたとのことだった。
店の名は王朝。
うちの家内が息子を迎える場所としてこれほどふさわしい名の店はそうそうないだろう。