予約枠は2つ。
四ヶ月ぶりの北野坂木下だった。
二男が帰省していたから、当然、わたしは席を息子に譲った。
土曜日の昼、武庫川を走り終えたわたしはジムへと向かい、家内と二男は神戸へと連れ立った。
前日の雨で空気の透明感が増していた。
空は晴れ渡り神戸の街は輝いて、透き通るような涼風が山から海へと吹き抜けていた。
豪華食材が供される三時間に及ぶ昼食は二男にとってかつてないほどの傑出した食事体験であっただけでなく、良き社会勉強の機会となった。
またペアリングで提供された赤白のワインがお酒の奥行きを二男に垣間見せ、おそらく今後彼は何を飲むかについてかなり意識的になっていくことだろう。
そして家内からすれば息子と二人で神戸にて食事するなど、気持ち華やぐ、まさに産んでよかったと思えるような幸福体験に他ならなかった。
わたしはジムでのハードワークを終え、ひとり西宮北口の居酒屋で過ごした。
夕刻、いったん家に全員が戻った。
わたしのお代は5千円ほどだったが、二人は合わせて7万5千円とのことで、食材の高騰が影響しているのだろう、人気店のお代は軒並み気の遠くなる域へと達しつつあるようだ。
昨年のクリスマスに福岡博多を夫婦で訪れた。
そのときちょうどいい皮の小銭入れが見つかってそれを家内は長男にプレゼントした。
この日、二男と神戸を散策し運よく同じものと出合えた。
もちろん家内はそれを買い求め二男にプレゼントした。
やはりなんであれ長男にすることは二男もし、二男にすることは長男にもする家内なのだった。
夕刻、二男は梅田へと向かった。
大阪星光66期の友人らと鳥貴族で飲み、そしてそのまま神戸へと向かい66期の下宿先にて朝まで過ごした。
このようにして帰省二日目の土曜日も中身のぎっしり詰まった充実の時間に敷き詰められた。
月曜日に帰京するから、残りはあと僅か。
さて日曜日はどうするのか。
ここで家内がまた最良のアイデアを思いつくのだった。