かねてから家内に強く勧められていた。
が、思い込みがあって気が進まなかった。
インディバって?
何か機械をカラダに当ててその気になるだけの施術ではないのか。
しかし、うちの女房は根っからの世話焼きなのだった。
いいと確信すれば、突き進む。
ついうっかり気を許した隙に予約をとられ、わたしはこの日、助手席に乗せられた。
もはや拒むことなど叶わない。
インディバサロンへと運ばれて、まもなくわたしは紙パンツだけ履き施術台の上に横たわったのだった。
「背中、すべすべですね」
施術者にひと撫で、ふた撫でされるうち、いともたやすくわたしは手懐けられた。
あまりに気持ちがよく、そのうち声まで漏れ出した。
何も機械だけをカラダに当てるのではなかった。
それは施術する手に添えられるだけで、主要な動きはもみほぐしであった。
ホースで水を撒きながら、掃除する。
そんなイメージだろうか。
インディバを通じカラダの深部が温まり、奥深くに潜む疲労が顔をのぞかせた瞬間を捉え、上手な手さばきで疲労が取り除かれていく。
身中の澱みが一掃されるかのようで実に爽快で、思わず声が漏れるのもやむを得ない。
出だしですでに、わたしはインディバの虜になった。
一時間などあっという間だった。
マッサージの類で、背中、首、肩が新しくつけ変わったかのような清新さを味わったのは生まれてはじめてのことだった。
施術を終えて待合に戻ったとき、よもぎ蒸しコースを終えたばかりの家内に感想を求められた。
「連れてきてくれて、ありがとう」
わたしは素直に感謝の言葉を女房に伝えた。
インディバなど女子の道楽。
そう思っていたが、次からは女房と一緒に。
アタマでどう思おうと、カラダが求めるのだから仕方がない。
帰途、インディバの余韻にひたりつつ、名店オイルのカウンターで軽く夕飯をとった。
確かこの近くに「富ゆき」があった。
ちょうど5〜6席のこじんまりとした店である。
谷口、まっちゃん、スキイチ、高岡さん、清家と浮かんでちょうど6人。
ひさびさ飲み会を企画しようと思い立ったが、疲労の溜まる50代男子である、もしかしたら、皆でインディバへと繰り出す方がいいかもしれない。