夕刻帰宅し、勢いが削がれぬようそのまますぐに家を出た。
クルマは出払っていて、雨模様であった。
傘を忍ばせわたしは歩いてジムへと向かった。
業務を終え、さっきガストでハンバーグと大盛りライスを腹に入れたばかりだった。
カラダの活性度は申し分なかった。
ここ最近お酒を飲んでいないから意識は澄み切っていた。
情動も端正に整って、身中に静か満ちる自信は汲めども尽きせぬといった感があった。
だから腹が据わって、目に力が宿った。
西宮北口駅周辺の人混みのなかを軽快に縫って歩いて、わたしは心身のコンディションの良さをことほいだ。
この調子、この調子。
そう思った。
もはや、若さを持て余したり、孤独であったり、用もなく群れ集ったり、日がな自己を懐疑したりといった青春の時期は過ぎ去った。
いまわたしを取り巻く現実のレベルと自分自身の内面の充実ががっちり呼応し噛み合っている。
相手にとって不足のないこの均衡が快適なことこの上ない。
味を占めればもう元には戻れない。