電車が空いている。
世間は夏休みなのだった。
空は青く風が通り、休み気分がそこかしこ行き交っていた。
気持ちが和らぐ。
いつもこうならどれだけいいだろう。
目的地に着いて空腹を覚えた。
これでは仕事にならない。
熱暑に炙られはじめた昭和町の街路を少し歩いた。
餃子の王将の前を通りかかったとき、ちょうど開店するところだったから避難するみたいに店内に転がりこんだ。
麺と飯をかき込んで腹ごしらえを終え、そのまま顧問先に駆け込んで熱弁をふるった。
その勢いで一日を走り抜けて夕刻、業務を終え家内の待つ家へと戻りそしてすぐさま家を出た。
しかしまだまだ解放されずあと一歩というところで夏休みはこの手をすり抜け続けた。
大阪駅を降りて電話を折り返し、特急はるかを待つ間も電話して、関空に着いて搭乗を待つ間も電話に追われた。
そしてようやくのこと。
搭乗して席に座ったときにも電話が掛かってきたがさすがにもう対応できない。
機内モードに変えいよいよわたしは高跳びの態勢に入った。