済州島滞在も最終日となった。
朝食は運転手キムさんがすすめてくれた人気店でとることにした。
店はホテルから歩いて5分ほどの場所にあった。
雨模様のなか平日の朝の雰囲気を感じつつ夫婦で歩いた。
前日の日曜は満員で席がなかった。
月曜も朝からそれなりの客の入りだった。
出てきた熱々のスープに驚いた。
ホルモンやらが入ってかなりディープな内容で、朝からこの滋養強壮食を平らげるなど信じがたい。
そりゃ彼らは強靭になる。
韓国を訪れる度いつも思う。
誰もがごつくてでかい。
取っ組み合いになればとても敵わないだろう。
ふーふー言いつつわたしも家内も完食した。
呼気まですっかり熱くなった。
だから次に来るのはかき氷だった。
済州島だからマンゴーピンス。
家内がそう決め、家内の言うがままに連れられた。
わたしは飲み物だけに留めたが、家内はキャッキャ言いつつ涼しい顔してかき氷の断面などつぶさに観察しながら楽しそうに味わっていた。
食い意地ではまさっても、食への関心好奇心という点でわたしは全く家内の足元にも及ばない。
そうつくづく思った。
そして続いては旅の定番。
道中に見つけた感じのよさそうなマッサージ屋へと移動した。
日本語のできるおばさんが店番で、すぐ助っ人のおばさんを呼んでくれ夫婦揃って施術を受けた。
二人とも見るからに歴戦のつわもの然とした出立と恰幅で懇切丁寧にわたしたちのカラダを揉みほぐしてくれた。
今度もまたここで揉んでもらおうと次回の抱負を語りつつ、家内は旅の思い出にまだ何か食べようと欲張るが、わたしはもう限界だった。
結局雨は降らず海からの涼風に吹かれての思い出深い散策となった。
ホテルへと戻り、いよいよ帰り支度を整えてタクシーに乗り込んだ。
あっと言う間にチェジュ国際空港に到着し、ほとんど人影なくスムーズに出発ロビーへと辿り着いた。
じゃあ食べよう。
家内が空港の定食屋に入り、なんとか喉を通るレベルだったが付き従った。
どのみち他にすることもなかった。
食事を頼むが、ビールはなかった。
家内が残念そうな顔をしたのでわたしは隣のコンビニを覗いてみた。
が、そこにも酒類は一切置いてなかった。
もしお酒が置いてあればあちこちで酒宴が始まってしまいかねない。
済州島特有の何か事情あっての規制なのだろう。
旅の締め括りにわたしたちはコーラで乾杯したが、たった三日では全く足りない、やり残したことだらけの旅を思い再訪を誓った。